屋根リフォームの種類や費用相場、適切な時期を解説!失敗しないための基礎知識
屋根は、私たちの家を雨風から守る大切な存在ですが、お風呂やトイレのように日々触れる場所ではないため、「どんなリフォームが必要か」「費用の相場はどれくらいか」といった点が分かりにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。屋根をリフォームすることは、単に見た目を良くするだけでなく、劣化や雨漏りなどを未然に防ぐ上で非常に重要です。
また、地震や台風といった自然災害の被害を軽減したり、断熱性能を上げる役割も担っています。
本記事では、快適な住まいを守るために欠かせない、屋根リフォームの種類ごとの特徴、費用の違いや、適切な実施時期といった基礎知識を分かりやすく解説します。
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屋根リフォームの種類と特徴
屋根のリフォームには、主に「葺き替え工事」「カバー工法」「屋根塗装」の3種類があります。それぞれの特徴や工期を解説します。
葺き替え工事(全面リフォーム)
葺き替え工事は、屋根リフォームの中でも最も大規模で費用のかかる工事です。
既存の屋根材をすべて撤去し、新しい下地と屋根材を施工するため、劣化や腐食が進行している屋根でも対応できます。
屋根塗装やカバー工法では補修しきれないケースに最適で、屋根全体を一新することで耐久性や防水性が大幅に向上します。下地を含めてすべてが新しくなるため、屋根の寿命は他の工法に比べて長く、長期的に見れば安心感の高いリフォーム方法といえます。
ただし、既存屋根材の撤去や下地の材料費、新しい屋根材の費用などが加わるため、リフォーム費用は他の2種類に比べて一番高くなります。
屋根面積100㎡での工期は1週間〜10日程度が目安です。
カバー工法
カバー工法は、今ある屋根を撤去せず、その上から新しい防水シートと屋根材で「カバー」する方法です。
既存の屋根をそのまま残すため、廃材処分費用がかからず、その分工事費用を抑えられます。
カバー工法は、スレートや金属屋根など、フラットな屋根材にのみ施工ができます。瓦屋根やソーラーパネルが乗っている屋根には施工できません。
また、屋根が二重になるため、建物にかかる重さが増えます。耐震性を確認し、既存の屋根材や下地の傷みがひどい場合は、葺き替え工事を検討しましょう。
屋根面積100㎡での工期は、4日〜1週間程度と他の工法に比べて短く済みます。
屋根塗装
屋根塗装は、現在ある屋根の表面に塗料を塗り直す、一番手軽な施工方法です。葺き替えやカバー工法と比べて費用が安く済むのが大きな魅力です。
金属屋根やスレート屋根などの屋根材は、塗装によって防水性や耐久性を保っています。そのため、塗装が劣化すると、本来の保護機能が失われ、屋根材のひび割れや腐食、浸水につながる原因になります。これを防ぐために定期的な塗装が必要です。
一般的に、足場費用を節約するため、外壁塗装と同時に行うケースが多いです。
工期は屋根面積100㎡で10日〜14日程度ですが、天候や屋根材のひび割れなどの補修状況によって変動します。
屋根リフォームの相場とは?費用を決める要因
屋根リフォームの費用は、主に「選択する工法」「屋根の面積や形状」「屋根材の種類」の3つの違いで決まります。
それぞれの具体的な相場を詳しく見ていきましょう。
リフォーム方法別の費用
リフォーム方法別の費用目安を、以下の表にまとめました。屋根面積を100㎡、屋根材は金属屋根(ガルバリウム鋼板)、塗装の塗料はシリコン塗料として計算しています。
| リフォーム方法 | 費用目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 葺き替え | 90万円~200万円程度 | 下地・撤去費用がかかる為、屋根リフォームでは一番高い |
| カバー工法 | 80万円~150万円程度 | 既存の屋根材の撤去費用が掛からない為、葺き替えよりも安い |
| 屋根塗装 | 45万円~60万円程度 | 屋根材を使用しない為、屋根リフォームでは一番安い |
費用は、リフォーム前の屋根の状態や、実際に使用する屋根材・塗料などによって大きく変わります。
正確な見積もり金額を知るためには、専門業者に現地調査を依頼することをおすすめします。
屋根の形状・面積による費用の違い
屋根リフォームの費用は、屋根の形状や面積によっても大きく変動します。
代表的な屋根の形状ごとの特徴と、工事費用の目安を簡単にご紹介します。
| 屋根形状 | 特徴 | 費用の目安 (1㎡あたり) |
備考 |
|---|---|---|---|
| 切妻屋根 (きりづま) |
2面構成の最も一般的な屋根。雨仕舞いが良くコスパが高い。 | 約6,000〜9,000円 | 通気・排水性が良く、リフォーム費用を抑えやすい。 |
| 寄棟屋根 (よせむね) |
4面構成で安定性と耐風性に優れる。 | 約7,000〜11,000円 | 手間が増える分やや高めだが、バランスが良い。 |
| 片流れ屋根 (かたながれ) |
1面のみのシンプル構造。モダンな外観。 | 約5,000〜8,000円 | 太陽光パネル設置に適し、コストも低い。 |
| 方形屋根 (ほうぎょう) |
四方向が均等に傾斜し頂点に集まるピラミッド型。 | 約8,000〜12,000円 | 美観・耐風・排水性に優れるが、施工精度が必要。 |
| 陸屋根 (ろくやね) |
平らな屋根で防水層がポイント。 | 約8,000〜12,000円 | 防水リフォーム中心。屋上利用も可能。 |
切妻(きりづま)屋根
切妻屋根は、よく目にする一般的な三角屋根です。
- 傾斜した2枚の屋根面が家の最上部で一つに合わさるシンプルな形
- 水はけが良く雨漏りリスクを抑えやすい
- 工事が比較的簡単でコストパフォーマンスに優れる
- 太陽光パネル設置に適する
- 1㎡あたり6,000〜9,000円
- デザインがシンプルで個性を出しにくい場合がある
- 雨風が直接当たる妻側外壁は他面より劣化しやすい
寄棟(よせむね)屋根
寄棟屋根は、四方すべてに傾斜面がある屋根で、面と面が合わさる部分を「棟」と呼びます。
- 4枚の傾斜面が中心に向かって集まる
- どの面も軒があり四方の雨風を受け流しやすく外壁劣化を防ぎやすい
- 方角を気にせず建築しやすい
- 1㎡あたり7,000〜11,000円
- 構造が複雑で切妻よりコスト高
- 屋根裏空間が狭くなりやすい
- 面が分かれるため太陽光の設置効率が落ちることがある
片流れ(かたながれ)屋根
片流れ屋根は、一枚の屋根面が片側へ傾斜するシンプル形状。
特徴:- 施工が比較的簡単で費用を抑えやすい
- 屋根面を広く確保し太陽光を効率設置
- 屋根裏に広い空間が生まれロフト等に活用しやすい
- 高窓を取りやすく外観のデザイン性が高い
- 1㎡あたり5,000〜8,000円
- 屋根で守られない側外壁は雨風が当たりやすく劣化が早まる可能性
- 雨水が一方向に集中するため該当方向の排水設備メンテが重要
方形(ほうぎょう)屋根
方形屋根はピラミッドのような形で寄棟の一種。主に正方形の建物に用いられます。
特徴:- 4面が頂点に集まる
- 寺院等にも多くデザイン性・高級感がある
- 雨風を受け流しやすい
- 1㎡あたり8,000〜12,000円
- 構造が複雑で施工難易度が高く費用はやや高額
陸屋根(りくやね・ろくやね)
陸屋根はほぼ水平な「平屋根」のこと。
特徴:- 屋上利用が可能(物干し・ガーデニング等)
- 戸建てよりマンションやビルに多い
- 瓦ではなく防水層中心で構成
- 1㎡あたり8,000〜12,000円
- 水が溜まりやすく排水性が低い
- 防水層劣化で雨漏りリスク上昇
- 紫外線や水溜まり対策として定期メンテ頻度が高い
屋根リフォームの費用は、屋根の形状だけでなく、傾斜(勾配)と面積でも変動します。傾斜が急になるほど屋根面積は広がるため、同じ延床でも費用が変わります。以下は延床30坪住宅の例です。
| 屋根勾配 | 延床30坪の場合の屋根面積 | 費用例(㎡単価9,000円で計算) |
|---|---|---|
| 緩やか(3寸) | 約110㎡ | 約99万円 |
| 普通(5寸) | 約120㎡ | 約108万円 |
| 急勾配(7寸) | 約140㎡ | 約126万円 |
屋根材の種類別の費用相場
屋根材の種類ごとに、耐久性や特徴、費用が異なります。代表的な屋根材の1㎡あたりの費用相場と具体的な特徴を簡潔にご紹介します。
瓦(粘土瓦)

粘土瓦には、釉薬を塗った「陶器瓦」や、燻して仕上げた「いぶし瓦」などがあります。
特徴:- 熱や水に強く、耐用年数は50年以上と長寿命
- 一度葺けば中間のメンテ費用を抑えられる
- 瓦自体が重く、建物への負担が大きく耐震性が低下しやすい
- 塗装やカバー工法は不可で、葺き替えや部分補修が中心
- 1㎡あたり7,000円〜15,000円程度
スレート屋根

セメントを主原料とする薄板状の屋根材。種類が豊富でデザインの自由度が高く、最も普及しており、比較的安価で施工しやすい。
特徴:- 軽量で施工しやすく、デザイン性に優れる
- カラーバリエーションが豊富
- 瓦に比べ耐久性が劣るため定期塗装が必要
- ひび割れ・破損が生じやすい
- 1㎡あたり4,000円〜8,000円
金属屋根

主流はガルバリウム鋼板(Al・Zn等でメッキした薄鋼板に塗装)です。
特徴:- 軽量で耐震性が高い
- 複雑形状にも対応しやすい
- 長寿命でメンテナンス頻度が低い
- 表面が深く傷つくと錆のリスクがある
- スレートに比べ導入コストはやや割高
- 1㎡あたり約8,000円~12,000円
それぞれの種類の特徴をまとめると、粘土瓦=耐久重視、スレート=コスパ重視、金属=軽量・長寿命のバランス型と言えます。
屋根リフォームの適切な時期と劣化の見極め方
ここでは、屋根材の種類ごとの耐用年数と、屋根の異常を早期に発見するための劣化症状の見極め方を解説します。
瓦屋根
瓦は耐用年数が50年以上と非常に長く、耐久性に優れています。
ただし、次のような症状が見られる場合は、葺き替え工事を検討しましょう。
- 屋根から雨漏りしている
- 瓦が全体的にうねる・歪む
- ひび割れや欠けが多い
- 瓦の隙間を埋める漆喰が劣化・剥がれている
スレート屋根
耐用年数は20〜30年で、10年ごとに屋根塗装を行うのが理想です。
以下の状態が見られるときは塗装を検討しましょう。
- ひび割れや欠け
- 色あせ
- コケや藻の発生
20〜30年を超える場合は、塗装よりもカバー工法や葺き替えがおすすめです。
下地劣化が進んでいれば葺き替えが必要となります。
金属屋根
スレート屋根と基本的なメンテナンスは同様で、耐用年数は20〜30年、目安は10年ごとの塗装です。
以下の状態が見られるときは塗装を検討しましょう。
- ひび割れや欠け
- 色あせ
- 錆
表面塗膜が劣化すると錆・腐食が進みやすいため、早めの塗り替えが大切です。
20〜30年を超える場合はカバー工法や葺き替え、下地劣化があれば葺き替えを選択しましょう。
屋根リフォームで失敗しないためのポイント
ここでは、屋根リフォームで失敗を未然に防ぐための重要なポイントを解説します。
定期的に点検を実施する
屋根は年中雨・風・紫外線にさらされ、どんな屋根材でも時間とともに劣化します。早期発見・早期対応で寿命を延ばせますが、放置は雨漏りや断熱低下を招き、建物全体の寿命を縮める恐れがあります。
2〜3年に一度の定期点検、地震・台風後のチェックが大切です。
日常は目視点検を行い、気になる点は専門業者に依頼して屋根上から詳細点検を受けましょう。
屋根リフォームの補助金や火災保険を活用
屋根リフォームは高額になりがちですが、補助金や火災保険の活用で費用を抑えられる場合があります。
火災保険の活用
自然災害が原因の不具合は、加入の火災保険で修理費が全額・一部カバーされる可能性があります。
【保険適用の例】
- 台風・強風で屋根の一部が飛散
- 棟板金の剥がれ
- 積雪で瓦が崩れ雨どいが変形
- 雹で屋根材が破損
地方自治体の補助金
地域や目的(耐震・省エネ・空き家活用など)により様々な制度があります。
以下は大阪府の屋根リフォームで使える補助金の一例です。
| 公共団体 | 制度名 | 補助額・補助率 |
|---|---|---|
| 大阪府 | 木造住宅の耐震化補助制度 | 上限60万円 |
| 大阪府 | 府省エネ・再エネ支援制度 | 一律5万円 |
| 大阪市 | 空家利活用改修補助事業 | 上限100万円 |
| 泉佐野市 | 住宅リフォーム助成事業 | 上限10万円(工事費の10%) |
| 茨木市 | 多世代同居支援住宅リフォーム補助制度 | 最大30万円(補助率1/3) |
| 交野市 | 住宅取得流通促進支援事業補助金 | 最大80万円(条件加算あり) |
| 門真市 | 子育て世帯等空き家利活用補助 | 上限100万円(工事費の2/3) |
| 河南町 | 三世代同居・近居支援補助金制度 | 上限50万円(工事費の1/10) |
| 岸和田市 | 空き家リフォーム事業補助金 | 上限100万円(工事費の2/3) |
| 摂津市 | 住宅リフォーム補助金 | 上限25万円(工事費の1/2) |
| 太子町 | 三世代同居・近居支援補助 | 上限50万円(工事費の1/10) |
| 大東市 | 空家リフォーム補助金 | 上限20万円(工事費の1/2) |
| 高石市 | 空き家対策補助金 | 上限30万円(工事費の1/2) |
| 高槻市 | 3世代ファミリー定住支援事業 | 上限20万円(工事費の1/3) |
| 千早赤阪村 | 空き家改修補助金 | 上限10万円(工事費の1/2) |
| 富田林市 | 空き家バンク制度活用促進補助制度 | 上限20万円(工事費の1/3) |
| 枚方市 | 若者世代空き家活用補助制度 | 上限100万円(工事費の1/2) |
| 藤井寺市 | 空き家リフォーム補助制度 | 上限30万円(工事費の2/3) |
| 岬町 | 空き家再生事業補助制度 | 上限5万円 |
| 八尾市 | 中古住宅流通促進補助制度 | 上限20万円(リフォーム費の1/2と取得費の1/10の合算) |
補助金は毎年内容が更新・変更されるため、必ず自治体の最新情報を確認しましょう。
「自分の家が補助金の対象になるかわからない」という方もご安心ください。細かな条件や募集枠がありますが、弊社が無料で対象可否をお調べします。
屋根は悪質業者や詐欺の多いリフォーム内容
屋根工事は専門性が高く、悪徳業者によるトラブルも発生しています。
特に「点検商法」や「屋根点検詐欺」には注意が必要です。
「近所で工事中のため挨拶に来た」「瓦がずれているので無料点検します」といった口実で訪問し、屋根をわざと傷つけたり不安を煽るケースも存在します。
突然の訪問に対してはその場で契約せず、地域の評判やGoogleマップの口コミを確認し、信頼できる会社に依頼しましょう。
まとめ
屋根リフォームは、見た目を整えるだけでなく、住まいを雨風や災害から守る大切な工事です。
屋根塗装・カバー工法・葺き替えの違いを理解し、適切な時期を見極めることが長持ちの秘訣です。劣化を放置すると雨漏りや断熱低下につながるため、定期点検と早めの対策が重要です。
さらに、補助金や火災保険の活用で費用負担を抑えることも可能になります。
信頼できる業者に相談し、自宅の状態に合った方法で、安心して長く暮らせる屋根リフォームを進めましょう。